1,500万の外貨建終身保険を解約して運用に回したい。判断のポイントは?

こんにちは!@ひろこ です。
外貨建の生命保険は日本よりも金利の高いアメリカやオーストラリアの通貨建にすることで、日本円建の保険よりも少ない保険料で大きな保障とが得られるものです。
純粋に生命保険としての目的以外に、外貨運用やリスク分散の目的で外貨建終身保険に加入されている方がいらっしゃいますね。
私が勤めていた銀行でも外貨建終身保険を窓口で販売していました。
今回、外貨建終身保険で運用されている方からご質問いただきましたので、回答しますね!
最近メディアでも何かと外貨建ての保険は叩かれています
銀行員時代、外貨建て保険はかなり推進されてたなぁ。
販売手数料が高いからだけど。外貨建てだから金利は高くても保険だからコストがかかる‼️
1番目に入る金利は高くても、保険関係費用が引かれたら実際の利回りは下がってしまう。
資産運用としての保険はコスパが悪い😫https://t.co/AywW2D3Dqm
— ひろこ@投資家/FP/元銀行員 (@hiroko_akilog) 2019年1月13日
外貨建終身保険は解約した方がいい?
以下は質問箱にいただいた内容そのままです。
1500万円を外貨(豪ドル・米ドル)建ての終身保険に充てて年2%程の配当金をいただいていますが、解約してトラリピやスワップ等の運用に充てた方がよいのではないかと思い始めました。
今解約すると早期解約なので300万円程の損失となりますが、損切と思って解約した方が良いのでしょうか。
解約してポートフォリオを組み直す場合、 現在トラリピで200万、トルコリラサヤ取りで400万、トライオートFXで100万、ウェルスナビで50万を運用しているのをトラリピに200万追加で400万、トルコリラサヤ取りができるうちに800万追加で1200万、余裕資金に200万を追加にするか、 トラリピに600万追加で800万、トルコリラサヤ取りに400万追加で800万、余裕資金に200万追加にしようかと考えています。
年齢が40代前半なので運用期間を15年、年利10%程を求める場合、あっきんさんの見解をお聞かせいただけないでしょうか。
前半の外貨建終身保険についての解約判断については私が、後半の余裕資金の運用についてはあっきんが回答しますね!
外貨建終身保険ってどんなしくみ?
外貨建終身保険といっても、保険会社によって、いろいろな商品があり、どの会社のどの商品に加入しているのかわからないので、一概になんとも言えません。
しかし、質問のキーワードから、保険料が一時払で毎年定期支払金が支払われるもので解約控除のある商品かな?と思い、こちらの商品が思い浮かびました。
間違ってたらごめんなさい(笑)
保険募集の資料では、このように抜粋したものは認められませんが、代理店ではないので、わかりやすく、かなり簡易的に作っています。
こちらの商品のポイントを簡単に整理しておきたいと思います。
[list class=”li-chevron”]
- 外貨建てで一時払保険料を支払う
- 死亡保険金・解約返戻金は外貨建て
- 毎年、積立利率分の外貨建の定期支払金が受け取れる
- 解約返戻金は市場調整価格と解約控除で計算
[/list]
毎年、積立利率分の定期金が支払われるというのが魅力の商品です。年金の他に収入を得られるということで、年配の方にも人気があります。
外貨建終身保険を解約するとどうなる?
質問に『今解約すると早期解約なので300万円程の損失となります』とあります。投資額が1,500万なので約2割の損失が発生しています。
該当する商品と思われる三井住友海上プライマリー生命のパンフレットを見ると、解約返戻金は、市場調整価格と解約控除で解約返戻金が計算されていると記載があります。
該当部分の抜粋です
なんだか難しいですね💦大丈夫です。順に解説していきます!
市場調整価格とは。
まず、市場調整価格について説明しますね。
外貨建終身保険を途中で解約した場合に戻ってくる解約返戻金が、市場金利によって増減する仕組みのことです。
保険を契約したときと、解約したときの市場の金利を比較して、解約返戻金に反映されます。
積立利率2.5%で運用している場合は、オーストラリアの市場金利が2.5%を上回っているときに解約すると、解約返戻金が少なくなります。
逆に市場金利が2.5%を下回っている時に解約すると解約返戻金は多くなります。
解約控除とは。
続いては、解約控除です。
契約後10年未満で解約した場合は、最大一時払保険料の10%の解約控除が発生する仕組みとなっています。
はっきり言って、高いです!!
10年未満で解約すると解約控除が発生するので、その分、為替レートが円安に動かないと一時払保険料を上回る解約返戻金は受け取ることができません。
質問さんのお話では、約2割ほど損失が出ていますので、解約返戻金の仕組みのほか、為替レートが円高に動いているために、さらに円換算で損失が膨らんでいるんだと思います。
豪ドル円の過去チャートを見ても、為替レートは25年ほどの期間でもこれだけ変動しています
このような一時払の外貨建終身保険の保険契約をする場合には、確実に円高だと思えるタイミング以外はおすすめできません。
保険で運用しようとすると、為替レートの変動以外に解約控除や保険にかかる費用が発生するので、その点を踏まえてリスクとリターンを意識した方がいいですね。
外貨建終身保険の解約を考える上でのポイント
それでは質問の回答に戻ります。
契約してしまった外貨建終身保険はどのようにしたらいいでしょうか?選択肢としては、こんなことが考えられます。
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- 損失が発生しなくなる時期まで契約を継続し、定期金をもらい続ける
- 損切りと思って外貨建一時払終身保険を解約し別の運用をする
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例えばちょうど10年で解約したとすると、理論的には、豪ドル建てで、一時払保険料と同額の解約返戻金となります。
ということは、その時の為替レートだけが解約時の日本円での受取額(両替時の手数料を考慮しない)を左右することになります。
例えば、外貨建一時払終身保険加入時の豪ドルが85円で、それぞれ更改時に15円円安、円高に動いた場合の円ベースの受取額と利回りです。
85円の時に契約したのであれば投資額は850万です。10年後に豪ドルが100円になっていれば解約返戻金は1,000万です。
15円円安に動くと、年平均利回りは1.5%です。毎年の定期支払金が2.5%の場合、それを加味すると利回りは4%程度です。
逆に15円高に動くと、定期支払金分を加味しても年平均1%ということになります。
ここまでの情報でなんだかあんまり美味しい商品じゃないような・・・と感じた人はそれなりにリテラシーがある方です。
お金を貯めるのと保険は切り分けるべきであると繰り返しお伝えしていますが、要するに保険で運用しようと思うとこんなに利回りは低くなります。
だって保険会社さんに運用を任せているのでその分諸々の手数料が発生しますからね!
もっとアクティブに年平均10%の利回りを求めたいということであれば、損失も出てしまいますが、外貨建一時払終身保険を解約して、別の商品へスイッチするということも考えられます。
ただし、質問者さんがこの商品に自分に万が一のことがあったときの備えとしての保険機能を期待しているのであれば別で掛け捨て保険などの対応が必要です。
ポートフォリオの見直しについて。
[say name=”あっきん” img=”http://akilog.jp/wp/wp-content/uploads/2016/12/prof-akkin.jpg”]ここからはあっきんがバトンを引き継ぎますね![/say]
今保険を解約すると300万の損失が出るものの、1,200万もの運用資金を手にすることができます。
なかなかこれだけの軍資金が別のお財布にあるパターンは珍しいですね!
内容を見るとトラリピとトルコリラサヤ取りで迷われているようですが、気になるのはレバレッジ商品が多過ぎでは?という点です。
私のようにレバレッジ商品を主体で運用していくには運用資金のうち、3〜5割は現金を持ちながら運用しておきたいところです。
なぜなら暴落相場がきた時に奥の手で資金を足してロスカットを回避できるからです。
また、現金を残して運用しておくことで暴落時の損失も全力で投資している場合に比べその割合分抑えることができます。
また、ディフェンシブな投資という意味ではトラリピもトッピングリピートを利用して相場に追従しながら資金を投じていくと暴落時の損失を減らすことができます。
そのあたりも視野にいれながら配分を考えられると良いと感じました(^o^)/
投資判断にはリスク許容度や資産運用のスタンス、いつまでにいくら必要か?などを踏まえて行うべきなので少しふわっとした回答になっていますが、ご容赦くださいませ。
毎月元本を増やしながらトラップを増やしていくトッピングリピートはあっきんの資産運用の軸となる運用手法です。
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保険のように解約時期の判断が難しいものよりも期間と利回りが決まっている貸付投資の方が見通しが立てやすいと感じています。
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この記事に出てきたトラリピやトルコリラのサヤ取りについてはこちらの記事で紹介しています。
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あっきん(@_akkin_nara)とは別でひろこの質問箱も設置しました!
あっきんは主にお金を増やす方法を発信してるけど、私はFPなのでお金とどう付き合っていくか?がテーマ。
生涯お金に困らないライフプランニングを目指して為になる情報発信がんばります(^o^)/
— ひろこ@投資家(元銀行員) (@hiroko_akilog) 2019年2月25日