こんにちは!ひろこ(@hiroko_akilog)です。
学資保険や外貨建終身保険に続いて、今回は変額年金保険に関する質問をいただきました。
私が勤めていた銀行でも変額年金保険を販売していたので実態はよくわかります。
パンフレットをみると魅力的に見えるのですが、実はすごく割高な運用商品なんですよね。
そのあたりをこの記事で紹介したいと思います(保険屋さんごめんない)
目次
変額個人年金ってどう思う?
ひろこ様
色々ブログ見させて頂いています、 40代会社員のすだっちと言います。
ところで質問ですが、私はソニー生命の変額個人年金(有期型)77歳満期世界株100%を500万円一時払いで2年前から運用していますがこの保険はひろこ様はどう見ますか?
宜しくお願い致します。
変額年金保険とは?
まずは、変額年金保険って、そもそもどんな商品なのかってところから。
変額年金保険は、保険料を株式や債券等を投資対象とする特別勘定というファンドで運用する年金保険です。
運用成績によって、将来受け取る年金額、解約返戻金額、万一の時の死亡給付金額が増減します。
純粋に老後の年金としての目的で加入されている方がいらっしゃいます。
ソニー生命の変額年金保険の商品性
ソニー生命の変額個人年金についてのご相談でしたので、ソニー生命のHPに掲載されている情報からイメージ図を作ってみました。
保険募集の資料では、このように抜粋したものは認められませんが、代理店ではないので、わかりやすく、かなり簡易的に作っています。
この商品は、簡単にいうとこの例の年齢の場合、414万円の一時払保険料を払い込んで、3.5%で運用できれば、60歳以降、毎年100万円の年金が10年間(100万×10年=1,000万)支払われるというものです。
約414万円の保険料が約2.4倍の累計1,000万円の年金になるというものです。こう聞くとなんだか良さそうに聞こえますね(^o^)/
私が販売していた変額年金保険は満期時にもらえる年金額が確定するものでした。
年金受取り開始後も特別勘定(ファンド)で運用していくので年金額が変動するものは珍しいですね。
相場が上昇していれば貰える年金額が増える可能性もあるかわりに、減る可能性もあるということです。
運用対象となる特別勘定は、こちらの8種類から、1つまたは複数を選べるようになっています。
また、保険期間中に、経済環境の変動に応じて世界株式型から債券型へ変更したりすることもできるという自在性のある商品になっています。
ソニー生命の変額年金保険の世界株式型の特長と運用実績
今回の質問者さんは、世界株式で100%運用されているということですので、世界株式型の特徴と運用実績を確認してみましょう。
世界株式型の特長
この運用の特徴は、日本を含む先進国の株式で運用するものです。
ダウや日経平均に連動するような株価指数に連動するインデックスファンドではなく、モルガン・スタンレーの助言を受けて、ソニー生命が自社運用しているアクティブファンドです。
世界株式型の気になる運用実績
アクティブに運用してどれぐらいの成績で運用できているのか気になりますね!HPに2018年3月末までの実績が載っています。
設立以来約19年で、6.5倍も増えるような実績となっています。また資産額も約5,000億円で、人気のある商品と言えます。
また直近1年の運用実績も載っています。それなりに増えていそうですね〜!
2018年3月に770.71ポイントだったものが2019年2月には848.35ポイントまで増えています。
ソニー生命の変額年金保険の手数料は?
「運用実績がいいので、なんだか良さそうですね!」
と言いたいところですが、実は・・・手数料が凄く高いんです💦
ここらへんは見えにくい部分になっているのでついつい運用実績に目がいきがちです。私が見たところこれだけの手数料がかかってきます
- ① 契約時・・基本年金原資の1.7%
- ② 運用中・・年率0.5659% 、年率0.2%
- ③ 年金支払後・・年金支払額の1%
最初に紹介したイメージ図に手数料を落としてみました。
契約時にかかる費用1.7%
計算すると契約時にかかる費用の1.7%は質問者さんの場合だと約15万です。
最初に支払う一時払保険料が414万だったと言われているので契約した瞬間に運用元本が400万になっているイメージですね!
つまり、最初に約3.5%手数料が引かれていることになります。高い!!
運用期間中にかかる費用
運用するための費用は毎年変動しますが、2017年度の世界株式型の実績は、年率0.5659%です。
400万円運用していたとしたら、概ね2万円ほど差し引かれます。
同じアクティブファンドで有名なひふみプラスの信託報酬が0.8424%なのでそれよりも安いですね!
参考:ひふみプラスの運用実績はここに
また契約期間中は上記の運用にかかる手数料の他に、契約維持・死亡保障に要する手数料がかかります。
費用は、基本年金原資の869万に年率0.2%の手数料と年齢による金額が差し引かれます。
これについては死亡保障が付いているので、年齢や性別で差し引かれる金額が違いますし、明記されていないのでいくら引かれるのかは不明です。
年金支払開始後の費用1.0%
年金が支給開始されると、今度は、支払額に対して1%の手数料が発生します。
3.5%で運用できたとして、年間100万円を年金で受け取る場合、1万円が手数料として差し引かれることになります。
いろんな手数料が引かれてますね。
結局いくら手数料が引かれてるの?
保険って手数料が色々あってトータルでどれだけ引かれているのかが見えにくくなっています。
結局のところいくら手数料が引かれているのかを調べてみました。
上記資料を元に手数料が引かれなかった場合に同じく3.5%の利回りで複利運用したときの運用資金と比べてみました。
これってやっていることはソニー生命の変額年金保険を使わずに投信で運用した場合ということです。
どちらも約414万円でスタートして比較をしてみます。
25年後で比較すると自分で3.5%で運用した場合は414万が978万になっています。一方の変額年金保険は869万です。
その差なんと約109万がソニー生命に支払っている手数料ということです!!驚きの金額ですね💦
ここからさらに年金の支払いが始まると、年金額に対して1%の手数料が毎年引かれてしまうんです(年1万×10年=10万)。
この比較で見えてきた運用期間中の手数料109万と年金支払時の手数料10万の合計119万が保険会社に支払う手数料です。
ちなみに、投資額は約414万です・・・。
保険で運用するのは割高!
最近は低コストな優良投信がたくさんでてきています。
楽天証券やSBIネット証券で自分で投信を買えば100万円もの手数料を支払う必要もありません。
ではそもそもなぜこんなに手数料を引かれるのでしょうか?
それは死亡したときに運用実績に一定額の保障がつく仕組みになっているからです。だからどうしても割高になってしまいます。
保険の魅力は万が一のことがあった場合に支払った以上にお金が返ってくるという保障です。
だったら、それは必要最低限を掛け捨ての生命保険で補えばいいと思います。そういう部分を意識して保険の相談を専門の人にするのが良いでしょう。
インデックス投資でどれぐらい増える?
今回の商品でも25年後以降に預けた414万が総額1,000万にも増えて返ってくると聞くと凄く良い運用をしているように感じますね。
でも保険会社に頼らず自分で利回り3.5%で運用することは難しいことではありません。その根拠としてこの実績を紹介しておきます。
新興国を含む世界全体の株式(日本を除く)に投資できるETF(MSCI ACWI ex Japan)で18年間運用した場合の平均利回りは5.26%です
この数字を元に運用資金414万を5.26%で25年間複利運用した場合にいくらになるか試算したところ1,490万になっていました。
運用期間が25年と長いのでこれぐらいの利回りでもすごい金額になりますね!
ということで、やっぱりお金を貯めるのと保険は切り分けるべきなので運用するなら保険ではなく自分で投資商品を買うのが良いと思います!
ここで紹介したETF(MSCI ACWI ex Japan)はわが家がつみたてNISAで運用しているeMAXIS Slim全世界株式(除く日本)を買うことと同じです。
気になるそちらの運用実績も記事にてまとめています。
また、投信を積立で買うのも良いと思いますが、もう少しまとまった資金を使って高い利回りで運用するという考え方もあります。
何も変動商品ばかりが運用の選択肢ではありません。利回り5%前後であれば貸付投資という選択肢も出てきます。
あっきん(@_akkin_nara)とは別でひろこの質問箱も設置しました!
あっきんは主にお金を増やす方法を発信してるけど、私はFPなのでお金とどう付き合っていくか?がテーマ。
生涯お金に困らないライフプランニングを目指して為になる情報発信がんばります(^o^)/
— ひろこ@投資家(元銀行員) (@hiroko_akilog) 2019年2月25日